田中一光製陶所

田中一光製陶所

シーンごとの使いわけが楽しみ
その雰囲気と佇まいに魅了される器

田中一光製陶所

「人間の感覚は正直だと思う」。居心地のいい工房、好きなものに囲まれたソファにて

すっきりとした形、どんな風景にも馴染みやすい佇まい。誰もがすてきだと思う器を生み出す、松本市の陶芸家・田中一光(かずみつ)さん。松本で生まれ育った田中さんは、二十歳前後を県外で過ごしますが、その後陶芸家として帰郷、現在は「クラフトフェアまつもと」の関連企画「工芸の五月」の企画室長としても活躍しています。
田中さんが営む「田中一光(いっこう)製陶所」は、北アルプスを望む松本の静かな住宅地に、神社境内の松林に寄り添うように建てられています。こぢんまりとして機能的な隠れ家のような空間は、なんと田中さんがセルフビルドしたものです。

田中一光製陶所

現在制作している無地のバリエーションは7色。オーダーメイドで注文を受けることもある

赤土の素地の上に白い化粧土を刷毛塗りして作られていく田中さんの器は、焼くと、それぞれの土の収縮率の違いで表面にひびが入り、独特の表情が出ます。シャープさとやわらかさを併せもった形と、どんな空間にも馴染む色合いが印象的。さまざまなシーンで使いわけしたくなるシンプルさは、使う人の想像力もかきたててくれます。
田中さんが陶芸にビビッときたのは高校時代のこと。子どもの頃、泥んこまみれになって外で遊ぶのが大好きだったことも影響しているようです。器を作るにあたって大切にしているのは、「気持ちよく食事がとれて、使い勝手が良いこと」。使いやすさと美しさの両面から自分なりの造形を探求しています。

田中一光製陶所

手で会話するように土と向き合う。褐色の土色は、できあがった器の釉薬を塗っていない部分に見られる

「自分のいいと思う形の中に、使う人への想いも込めて」

田中一光製陶所

ティーポットは注ぎ口の水切れがよく、気持ちよく使い続けられる。写真は2、3人用450ml

「実家ではちきりや工芸店(松本市中町)の器を使っていました。厚くてぼったりしていて、持った時の安心感のようなものがある。それが原体験です。最初は、器とオブジェは分けて考えていましたが、最近になって、やっぱり繋がっているよなと思うようになりました。自分のいいと思う形の中に、使う人への想いも込めていけるようになりたいです」と、器作りへの想いを語る田中さん。自己主張することなく作りたいものを作ろうとする姿勢は、器が醸すしゃんとしていてやさしさがある佇まいにも表れています。小皿をマグカップのソーサーとして使ったり、ティーカップをスープマグにしてみたりと、シーンごとに使い分けるのが楽しみなところも、田中さんの器の大きな魅力です。

田中一光製陶所

1:水彩のような水色は透明なガラス質の釉薬にコバルトを加えて作った
2:工房を建ててまず取り組んだ色見本。石、灰、粘土の配合と金属でさまざまなバリエーションが生まれる
3:松本にはクラシックの中古CDショップが多く、いいものがないかと歩きまわって集めるのが楽しみ
4:最近はストライプや水玉など模様のある器も作る。「意外と料理に合わせやすい」と好評

いくつもの扉を開けて
作家として次のステップへ

田中一光製陶所

庭には研究生時代に作ったオブジェが。最近はオブジェと器に共通する何かを感じるようになった

これからの抱負を聞くと、「いろんな方と一緒にやることで、ひとりだけでやっていては得られない刺激をもらっています。個展では自分の発想にないことを言ってもらえるのがおもしろいです。自分の感覚も大事にしますが、お客様の感想を反映することで作品が練り上げられていくというか。技術的にも安定してきたので、これからはかちっとした形のものだけじゃなく、遊び心やストーリーが込められたものを作りたい。作家として次の段階へいきたいと思っています」と田中さん。
あらゆる雑用をこなしながら、日々ひとりで作陶に励む田中さんは、「ボーッとしているうちにすごいところに放り込まれてしまうことがある」らしく、プライベートな話を聞いていると、面白いことや面白い人に出会える才能の持ち主であることを感じました。日常に潜む冒険や遊び心が表現された、田中さんの新しい造形が見られる日が待ち遠しいこの頃です。

田中一光製陶所

10年前、神社の境内に隣接する実家の敷地に田中さん自身が建てた工房

田中一光製陶所

裏側には「IKKO」のサイン。手に持って気持ち良く、洗い心地もいい

田中一光(たなか・かずみつ)

1977年 松本市生まれ
東京学芸大学教育学部美術科卒業後、陶芸研究室研究生
2001年 陶芸家・松本慶一郎氏に師事
2004年 松本にて独立
2006年 セルフビルドで工房を建設
2010年 田中一光製陶所設立。国立新美術館ミュージアムショップ SFTギャラリーグループ展
2012年 poooL 個展

クラシック音楽を愛聴しており、中でもバッハは集中力を高めてくれる特別な存在。年一度、松本で行う個展はバッハの『ゴールドベルク変奏曲』のオマージュとして『青の主題による変奏曲』と名付けた。「バッハのように32楽章(32年間)続けていきたい」という思いが込められている。

田中一光製陶所

4商品 1-4表示
4商品 1-4表示

PICK UP ITEMピックアップ商品

もっと見る

最近チェックした商品

最近チェックした商品はまだありません。