学者村陶房 戸津圭一郎

戸津圭一郎

器に表れる無垢な風景に魅せられて
使うほど愛しさが増す粉引きの器

戸津圭一郎さんは、東京生まれ。信州長和町へ工房を構えて18年ほどになります。閑静な別荘地「学者村」に建つ工房にお邪魔し、お話をお聞きしました。
「子どもの頃は、まさか自分がこっちの道に進むとは思っていませんでした」という戸津さん。20代前半、原宿の陶芸教室に勤務していたとき、仕事の終わりにろくろを触っているうちに、その難しさとおもしろさからろくろに開眼。陶芸の道を目指すようになりました。翌年、有田窯業大学校へ入学し、陶磁器全般にわたって知識や技術を身につけ、卒業後は、有田ではめずらしい土ものを扱う窯元で経験を積みます。「陶芸をやろうと思ってからは、最初から作家で食べていくことを目指していました。都会より田舎が好きで、通勤電車に揺られる生活は向いていないなあと思って(笑)。この場所が空くタイミングと独立のタイミングが重なって長和町に落ち着きました」。戸津さんの穏やかな人柄と自然体の生き方は、作品が持つ温かみややさしさにも繋がっているようです。

膨大な時間を費やす造形と
一瞬で描く「何気ない景色」

しずくや模様など、化粧土が生み出す風景は、作り手である戸津さん自身が愛してやまないもの

定番の粉引きの飯碗は、しのぎと面取りの二種。面取りの作業を見せてもらうと、一面ずつ、ほんのわずかに削っていくその様子から、ひと削りごと確かめるように気を入れて削っている様子が伝わってきました。化粧土の話になると、「実際にやってみますか」と貴重な作業を見せてくれました。
「(化粧土の)しずくをどこに持っていくかによって、器の景色ができるんです。その何気ない景色が好きですね」と、手を動かしながら器の魅力を語る戸津さん。ほんのわずかな時間で、鉄分を含んだ土の褐色が趣のある白色へと変身しました。
戸津さんは、人気の粉引きのほかにも、三島手や小石原焼をアレンジした飛び鉋など、こつこつとさまざまなスタイルに取り組んでいます。ひとつの器が世に出るまでに、どれほどの手間と時間が費やされているのだろうと、想像してもしきれないほど、工房にはたくさんの試作品が並んでいました。

素焼き前の生乾きの器を削りとる面取りの作業

赤貝を使って一筋ひとすじ模様を付けた三島手の一点もの

クラフト仲間との繋がりのなかに
「いい器」との出合いがある

「定番のものをきちんとこなしながらも、常に新しいことに挑戦していきたいです。自分より若い作家さんの中にも、いい器を作る人がたくさんいます。これからも色はもちろん、高台から口縁まですべてに隙がない、いい器を目指していきたいと思っています」と話し、やりがいのある日々を楽しんでいる戸津さん。ちょうどこの日、「蓼科クラフトヴィレッジ陶仙房」で行われていた阿部春弥さんとの二人展は、今年で8年目。次に行われるグループ展は、作家仲間との繋がりを大切にする戸津さんらしく10年目を迎えるそう(2015年10月時点)。「珈琲のおいしそうな器」など、さまざまなテーマで行われている戸津さんの作品展は、これからも目が離せません。ぜひ足を運んでみてくだい。

左から蓼科クラフトヴィレッジ代表の北条彰彦さん、戸津圭一郎さん、阿部春弥さん。作品展のあとはいつもこの「森のOpen Cafe」で話をするという。反省会と言いつつ、とっても楽しそうな3人

手にしたときの適度な軽さや重ねた時の収まりの良さが魅力の戸津さんの器。時間をかけて丁寧に施された加工と、型によって土や釉薬、化粧土の配合を変えて生み出した色合いなど、そのすべてのバランスが反響しあって、一つひとつの器を輝かせている。蓼科クラフトヴィレッジ陶仙房、阿部春弥さんとの二人展にて

<戸津圭一郎さん プロフィール>
1969年東京都生まれ、埼玉県さいたま市(旧浦和市)育ち。佐賀県立有田窯業大学校卒業後、有田の窯元「RIC工房」に勤務。1997年長和町(旧長門町)学者村に移住し、築窯・独立。長野・東京・埼玉・福岡のギャラリーなどで個展、グループ展。各地のクラフトフェアなどに参加

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学者村陶房
小県郡長和町学者村第三期D-123
0268-68-2748
※見学を希望される際は事前にご連絡ください

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